ハンダ濡れ不良と窒素リフロー

多種少量生産では部品を長期間保管することがあります。

産業機器基板のように多種少量の生産の場合は、お客様が(または実装業者が)、ICやトランジスタなどの電子部品を大量に在庫し、必要に応じて出庫している場合があります。そのため、どうしても部品リードの酸化が進み、ハンダ濡れ不良が発生しやすくなります。

ハンダ濡れ不良とは

通常のハンダ付け条件では酸化膜が除去できずに、接合部に錫(Sn)と銅(Cu)などの母材との合金層が形成されない状態をハンダ濡れ不良といいます。

濡れ角が90°以上ならば、
接合部で合金層が形成されていない
(電気的機械的に接続されていない)か、ごく一部でしか接続されていないと判断出来ます。
チップ電極の濡れ不良












 

濡れ不良は見つけにくい

ハンダがたっぷりあるので、慣れないと、一見接続されているように見えるため、目視検査で見逃してしまう可能性があります。
また電気検査でも、接合部の一部でも接続していれば電気的には動作してしまうため、不具合が発見できないことがあります。

トランジスタのハンダ濡れ不良

コンデンサのハンダ濡れ不良


濡れ不良対策

我々実装業者は対策として、温度プロファイル(ハンダ付け条件)、フラックスの選定など、それぞれ取組んでいます。

窒素(N2)ガスが効果的

特に有効なのが、窒素リフロー装置の使用です。弊社の実験では、大気リフローで濡れ不良が多発する同じロットに対して窒素を流すことにより、その不具合が劇的に減少しました。
そのため、弊社では鉛フリー対応の基板実装だけでなく、共晶ハンダ(SnPb)対応の基板実装でも全て窒素リフロー装置でハンダ付けしています。

弊社で濡れ不良が見つかった場合は、その在庫部品全て、不具合を起こす可能性がありますので、直ちにお客様に報告し、相談の上、使用を中止する、または使用する場合は、お互いに重点検査項目にする、などの対策を立てています。